「富山県青少年健全育成条例」には、未成年者から着用済みの下着等を購入する行為について、以下の禁止規定があります(第15条の2、第17条の2)。
この規定に違反した場合、30万円以下の罰金に処せられます(第24条3項10号、12号)。
着用済み下着等の買受け等の禁止
富山県の条例「富山県青少年健全育成条例」は、未成年者から使用済みの下着、だ液、ふん尿を買い取る行為に関して、以下の条文で禁止しています。
第15条の2
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 青少年から着用済み下着(青少年が一度着用した下着又は青少年がこれに該当すると称した下着をいう。以下この条において同じ。)を買い受けること。
(2) 青少年から着用済み下着を交換により取得すること。
(3) 青少年から着用済み下着の売却の委託を受けること。
(4) 青少年に着用済み下着の売却の相手方を紹介すること。
(5) 前各号に掲げる行為が行われることを知つて、その場所を提供すること。
解説
この条例を所管する部署(富山県厚生部)は、条例の内容や解釈を説明する小冊子を作成しており、以下のように解説しています。
【解説】
本条は、青少年から着用済み下着を買い受けること、交換により取得すること、売却の委託を受けること、又は売却の相手方を紹介することを禁止するとともに、これらの行為が行われることを知っていながら、その場所を提供することも禁止するものである。
青少年が、安価で購入した下着を一度着用した(本人が着用したと称した場合も含む。)上で、それを高価で売却することにより、安易に金銭を得る行為を行い、それが買春などの重大な福祉事犯へ発展する可能性もあることから、これら事犯を未然に防止することを目的としている。
古物の買受けなどに係る第14条第2項と本条との関係については、着用済み下着は、第14条第2項で定める「古物」に該当するが、同項にて「本条第1号に規定する着用済み下着を除く。」と規定されているので、着用済み下着については、古物商に係る行為であっても、第14条第2項ではなく、本条で規制する。
従って、着用済み下着に関しては、第14条第4項規定は適用とならず、保護者の委託を受け、又はその同意を得たと認められる時においても、古物商は、青少年から着用済み下着の買い受けなどをしてはならないものである。
何人もについては、第8条第4項解説にあるとおりである。また、本条についてはインターネットなどを利用して買い受け等を行うことも想定されるため、他県にいる者も含むことと解され、国籍、住所、年齢、性別を問わず、全ての人(自然人)を指す。
1 第1号関係
(1) 下着とは、上着の下に着る衣服で、特に、直接肌につける衣類をいい、かつ通常は公衆の場所で、それのみを見せることのないものをいう。
例えば、ショーツ、ブラジャー、パンティーストッキングは該当するが、靴下は該当しない。
(2)青少年がこれに該当すると称した下着とは、青少年本人が着用したものではない場合、又は実際は着用していない場合であっても、着用したと称して売却などした場合は本条の対象となるものである。
2 第2号関係
交換とは、青少年が一度着用した下着又は青少年がこれに該当すると称した下着と金銭以外の物品との引き換えにより、当該下着を取得することをいう。
条例第14条第2項が、古物営業法第2条第2項を受けて規定されていることから、当該下着を取得するための一手段となる可能性を鑑み規定したものである。
3 第3号関係
委託とは、下着売却に関する実行や取扱いを人に依頼することをいう。
4 第4号関係
紹介とは、使用済み下着を買受けようとする者と当該下着を売却しようとする者(青
少年)とを引き合わせることをいう。
5 第5号関係
(1) 知ってとは、初めから事情を承知している必要はなく、客観的な状況から容易に理解できる状態であれば知っているといえる。
(2) 場所とは、屋内屋外を間わず、また、旅館、喫茶店、飲食店などの営業所は勿論、
アパート、下宿、自宅、廃屋などであっても、前4号に規定する行為を行うために提
供されていれば場所に該当する。
本条各号の規定に違反した者は30万円以下の罰金に処せられる。(→第24条(罰
則)第3項第10号)
着用済み下着等を売るよう勧誘する行為の禁止
実際に購入しなくても、未成年者に対して下着等を「売ってほしい」と勧誘しただけで、条例違反となります。富山県では、下記のように定められています
(勧誘行為の禁止)
第17条の2
何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)青少年が一度着用した下着を売却するように勧誘すること。
(以下略)
解説
この条項について、富山県の担当部署は、以下のように解説しています(抜粋)。
【解説】
本条は、青少年に対して、着用済み下着を売却すること、接待飲食店営業の客となること又は性風俗関連特殊営業の接客業務に従事することを勧誘する行為を禁止するものである。
本条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられる。 (→第24条(罰則)第3項第13号参照)
何人もについては、第8条第4項の解説を参照。
1 第1号関係
(1) 一度着用した下着とは、購入した状態のままではなく、一度以上着用した下着のほか、本条例第15条の2第1号に規定する「青少年がこれに該当すると称した下着」も含む。
(2)勧誘とは、説き勧めて誘い入れる意味だが、この場合の態様は、直接に声を掛けることはもちろん、メモ、チラシ、名刺などを渡したりすることも含まれる。
つまり、勧誘を受けたことが青少年に明確に理解されるのであれば、手段は問わない。以下、第2号、第3号についても同様である。
(以下略)
○ 資料・引用元「富山県 青少年健全育成条例の解説」令和元年6月(富山県厚生部)56頁から57頁、64頁