「埼玉県青少年健全育成条例」には、未成年者から着用済みの下着等を購入する行為について、以下の禁止規定があります。
これらの規定に違反して未成年者から着用済み下着を購入したり、または、未成年者に対してそれらを売却するよう勧誘した場合は、30万円以下の罰金に処せられます(同条例29条1項)。
着用済み下着等の買受け等の禁止
埼玉県の条例「埼玉県青少年健全育成条例」は、未成年者から使用済みの下着、だ液、ふん尿を買い取る行為に関して、以下の条文で禁止しています。
(着用済み下着等の買受け等の禁止)
第18条の2
何人も、青少年から着用済み下着等(着用した下着又はだ液若しくはふん尿(これらに該当すると称したものを含む。)をいう。以下同じ。)を買い受け、又は売却の委託を受けてはならない。
2 何人も、青少年に対し、着用済み下着等を販売してはならない。
解説
この条例を所管する部署(埼玉県総務部青少年課)は、条例の内容や解釈を説明する小冊子を作成しており、その冊子において、以下のような解説を設けています。
【要旨】
本条は、青少年への性の逸脱行為を防止すると同時に、青少年が容易に金銭を入手する経路を絶つため、青少年から着用済み下着等を買い受ける等の行為を禁止する規定である。
本条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられる。(条例第29条)
【解説】
1 第1項関係
本項は、青少年から着用済み下着等を買い受け、又は売却の委託を受けること(いわゆる生セラ)を禁止する規定である。
「下着」とは、上着の下に着る衣服で、特に、直接肌に着ける衣服をいい、かつ通常公衆の場所でそれのみを見せることのないものをいう。例えば、ショーツ、ブラジャー、パンティストッキングなどであり、靴下は含まない。また、「だ液若しくはふん尿」には、汗などの体液は含まない。
生セラには、例えば、生セラショップ等の店舗内で青少年と客とが直接下着等を取引する行為や駅前で青少年と待ち合わせて直接下着等を取引する行為などがあり、いずれの行為も禁止される。
(1)行為の主体は、「何人も」であり、県民はもとより、旅行者、滞在者も含み、現に本県内のすべての人を指すものである。青少年が主体である場合は、本条例第33条の規定による処罰は適用されない。
(2) 「着用済み下着等」とは、着用した下着又はだ液若しくはふん尿をいう。「これらに該当すると称したものを含む」とは、例えば、実際には着用していない下着や偽物のだ液やふん尿なども含むということである。
着用済み下着等を売るよう勧誘する行為の禁止
購入にいたらなくても、未成年者に対して下着等を「売ってほしい」と勧誘しただけでも、条例違反となります。埼玉県では、下記の条項でこのような行為を禁止しています。
(勧誘行為の禁止)
第18条の3
何人も、青少年に対し、次の行為を行つてはならない。
(1)着用済み下着等を売却するように勧誘すること。
(以下略)
解説
この条項について、埼玉県の担当部署は、以下のように解説しています(抜粋)。
(趣 旨)
本条は、青少年への性の逸脱行為を防止するため、性的な勧誘行為(いわゆるスカウト)を禁止する規定である。
本条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられる。(条例第29条)
(解 説)
1 本条の主体は、「何人も」である。(第18条の2の解説参照)
2 第1号関係
着用済み下着等を売却するように、青少年を勧誘する行為を禁止するものである。
(以下略)
○ 資料・引用元「埼玉県 青少年健全育成条例の解説」平成18年4月(埼玉県総務部青少年課)45頁から47頁