「千葉県青少年健全育成条例」は、未成年者から着用済みの下着等を購入する行為を禁止しています(同条例第19条の2および3)。
これらの規定に違反した場合は、30万円以下の罰金に処せられます(同条例第28条4項3号)。
着用済み下着等の買受け等の禁止
千葉県の条例「千葉県青少年健全育成条例」は、未成年者から使用済みの下着、だ液、ふん尿を買い取る行為に関して、以下の条文で禁止しています。
(着用済み下着等の買受け等の禁止)
第19条の2
何人も、青少年から着用済み下着等(青少年が着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿をいい、青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿を含む。以下この条において同じ。)を買い受け、若しくは売却の委託を受け、又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない。
解説
この条例を所管する部署(千葉県環境生活部県民生活・文化課)は、この条例の内容や解釈を説明する小冊子を作成しており、その冊子において、以下のように解説しています。
【解説】
本条は、青少年が身に着けている下着を買い取る大人が存在し、これらが高じて青少年のだ液若しくはふん尿の売買も行われている実態を背景に、安価で購入した下着を一度着用した(本人が着用したと称した場合も含む。)上で、それを高額で売却することにより、簡単に多額の金銭を手に入れる行為を青少年が行い、それをきっかけに風俗関係の店に出入りするようになったり、犯罪に巻き込まれたりする事例が見られることになったのを受けて、設けたものである。
(1)何人もとは、県民はもとより旅行者、滞在者を含み、また、成人であると少年であるとを間わず、現に県内にいる全ての者をいう。
(2)青少年が着用した下着とは、購入した状態のままでなく、一度以上着用した下着をいい、本人が着用したと称したものも含む。
(3)青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿を含むとは、その下着が、青少年本人が着用したものではない場合や、実際には着用していない場合であっても、だ液やふん尿が、青少年本人のものではない場合であっても、青少年本人がそのように称したものは、本条に該当することとしたものである。
(4)下着とは、上着の下に着る衣服で、特に直接肌に着ける衣類をいい、且つ、通常公衆の場所でそれのみを見せることのない物をいう。例えば、ショーツ、ブラジャーなどであり、靴下は含まない。
(5)だ液若しくはふん尿には、汗、体液等は含まない。
罰 則 違反した者は、30万円以下の罰金又は科料に処せられる。(第28条第4項第3号)
着用済み下着等を売るよう勧誘する行為の禁止
購入にまでいたってなくても、未成年者に対して下着等を「売ってほしい」と勧誘しただけでも、条例違反となります。千葉県では、下記のように定められています。
(有害となる行為への勧誘の禁止)
第19条の3
何人も、青少年に対し、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
(1)青少年が着用した下着又は青少年の唾液若しくはふん尿を売却するよう勧誘すること。
(以下略)
解説
この条項について、埼玉県の担当部署は、以下のように解説しています(抜粋)。
【解説】
本条は、近年、多くの青少年が集まる繁華街で、青少年を対象とした勧誘行為が行われ、巧みな勧誘に誘われるがまま、ファションヘルス等の性風俗関連特殊営業の業務に従事するようになったり、客としてホストクラブ等の接待飲食等営業の店に出入りするようになったりなど、これらの店の営業者等がスカウト活動を通じて、青少年の健全な成長を阻害し、暴利をむさぼる事例が増えてきたことから、青少年に対するこれらの勧誘行為を禁止したものである。
1 第1項前文
(1)何人もとは、県民はもとより旅行者、滞在者を含み、また、成人であると少年であるとを間わず、現に県内にいるすべての者をいう。
(2)本条の対象となる青少年とは、すなわち小学校就学の始期から18歳に達するまでの者をいい、婚姻により成年に達したものとみなされる者は除く。
2 第1号
青少年が前条で規制する行為の相手方となるように、青少年を勧誘することを禁じたものである。
(1)青少年が着用した下着又は唾液若しくはふん尿とは、前条と同義である。
(2)勧誘とは、社会的、精神的に未熟な青少年に対し、甘言を用いて勧め誘うことであり、風俗営業法でいう「客引き行為」の用件までは必要としない。
その形態は、直接に声を掛けることはもちろん、メモや名刺を渡すことも含まれる。つまり、勧誘を受けたことが青少年に明確に理解されるのであれば、手段は間わない。以下第2号、第3号についても同様である。
(以下略)
○ 資料・引用元「千葉県 青少年健全育成条例の解説」令和2年7月(千葉県環境生活部県民生活・文化課)104頁から105頁