「栃木県青少年健全育成条例」は、未成年者から着用済みの下着等を購入する行為を禁止しています(第45条、第46条)。
これらの規定に違反した場合は、20万円以下の罰金または科料に処せられます(第58条6項2号)。
着用済み下着等の買受け等の禁止
栃木県の条例「栃木県青少年健全育成条例」は、未成年者から使用済みの下着、だ液、ふん尿を買い取る行為に関して、以下の条文で禁止しています。
(青少年からの着用済み下着の買受け等の禁止)
第45条
何人も、青少年から、着用済み下着(着用した下着をいい、着用したと青少年が称するものを含む。以下同じ。)を買い受け、若しくは交換し、又は着用済み下着の売却の委託を受け、若しくはその周旋をしてはならない。
解説
この条例を所管する部署(栃木県県民生活部人権・青少年男女参画課)は、この条例の内容や解釈を説明する小冊子を作成しており、その冊子において、以下のように解説しています。
【解 説】
1 本条は、青少年が安価で購入した下着を着用済みとして高額で売却することで容易に多額の金銭を入手し、風俗関係の店に出入りするようになったり、犯罪に巻き込まれたりする事例が見受けられるため、青少年から着用済み下着を買い受ける等の行為を禁止するものである。
2 「着用済み」及び「下着」の意味は、第25条の解釈と同様である。
本条は、いわゆる「生セラ」と称されるもので、その時着用していた下着を対面している相手に売却する形態や店舗内において青少年が着用している下着を脱ぎ客に直接販売する形態等があるカ、いつの時点まで着用していたかを問わず、一度以上着用した下着は本条の対象となる。
3 「青少年が着用したと称する下着」とは、青少年本人が着用したものでない場合又は実際は着用していない場合でも、青少年がそのように称して売却をした場合は本条の対象となることを明記したものである。
(以下略)
着用済み下着等を売るよう勧誘する行為の禁止
実際に購入しなくても、未成年者に対して下着等を「売ってほしい」と勧誘しただけで、条例違反となります。栃木県では、下記のように定められています。
(勧誘行為の禁止)
第46条
何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 接待飲食等営業(風適法第2条第4項に規定する接待飲食等営業をいう。次号において同じ。)又は性風俗関連特殊営業(同条第5項に規定する性風俗関連待殊営業をいう。)において客に接する業務に従事するように勧誘すること。
(2) 接待飲食等営業のうち風適法第2条第1項第1号に該当するものの客となるように勧誘すること。
(3) 入れ墨を受けるように勧誘すること。
(4) 着用済み下着を売却するように勧誘すること。
解説
この条項について、栃木県の担当部署は、以下のように解説しています(抜粋)。
【解 説】
近年県内の繁華街等において、青少年を対象とした勧誘行為が行われ、巧みな勧誘に誘われるがまま、ファッションヘルス等の性風俗関連特殊営業の業務に従事したり、又、客としてホストクラブ等の接待飲食業の店に出入りするうち、支払代金がかさみ、ソープランド等で稼働させられたり、支払代金を得るため、安易に売春等に走るなどの事例が見受けられるなど青少年の健全な成長を阻害している現状が見られる。
さらに判断力の未熟な青少年が大人の巧みな勧誘によって好奇心や一時的な感情で入れ墨をしたり、着用済みの下着を売却するといった安易で不健全な手段で遊興費を手に入れるといった事例が見受けられるため、これらの勧誘行為を禁止することとしたものである。
1 「勧誘」とは、勧め誘うことであり、その形態は、直接に声をかけることはもちろん、店や仲介者の連絡先等記載したメモや名刺を渡すことも含まれる。
風適法にいう「客弓は」は、相手方を特定して営業所の客となるように勧誘することをいい、通行人に対し、営業所の名称を告げず声をかけ、相手の反応を待っている段階ではそれに当たらないとされるが、本条の勧誘は、勧誘を受けたことが青少年に明確に理解されるのであれば手段は間わずまた、勧誘の場所、時間も問わない。
(2から5は省略)
5 第4号は着用済み下着を売却するよう勧誘すること。着用済み下着の意味は前条を参照のこと。
6 「何人も」の意味及び青少年の処遇については、第42条の解説10の項と同様である。
○ 資料・引用元「栃木県 青少年健全育成条例の解説」令和4年4月(栃木県県民生活部人権・青少年男女参画課)66頁から68頁